日常における環境衛生に係る学校環境衛生基準

学校環境衛生の維持を図るため、検査項目の定期的な環境衛生検査等のほか、次の検査項目について、毎授業日に点検を行います。

(1)換気
検査項目 換気
基準 (ア) 外部から教室に入ったとき、不快な刺激や臭気がないこと。
(イ) 換気が適切に行われていること。

事後措置

外部から教室に入った場合に、不快な刺激や臭気等を感じたら、直ちに窓を開けて十分に換気をします。
このとき、対角線上にある窓を開け、換気がスムーズに行われるようにします。

コンピュータ教室等の常時使用しない教室では、特に換気を十分行います。

(2)温度
検査項目 温度
基準 18℃以上、28℃以下であることが望ましい。

事後措置

教室等の室温が基準を逸脱すると学習意欲にも影響するので冷暖房装置の使用を検討します。

児童生徒等の健康や学習環境の確保の観点から、温度の適切な管理に努めることが大切であるが、温熱環境の快適性は、温度、湿度、気流等によって影響を受けるため、温度のみでなく、湿度、気流も考慮した総合的な対応が求められます。

室内温度と外気温度の差を無視した過度の冷房は体調を崩す要因となることから、室内温度を外気温度の差は著しくしないようにします。

(3)明るさとまぶしさ
検査項目 明るさとまぶしさ
基準 (ア)黒板面や机上等の文字、図形等がよく見える明るさがあること。
(イ)黒板面、机上面及びその周辺に見え方を邪魔するまぶしさがないこと。
(ウ)黒板面に光るような箇所がないこと。

事後措置

天候等の影響によらず、教室がいつもより暗く感じる場合は、照明器具(蛍光灯等の光源及び 反射板)の清掃を行います。
暗くなった光源や消えた光源は、直ちに取り替えます。

天井が汚れていたり、カーテンが日に焼けていたりしていると暗くなるので、適宜天井の塗り替えや清掃、カーテンの洗濯等を行います。
なお、暗いと感じる場合は、定期・臨時検査を活用します。

まぶしい光源がある場合は、光源を遮断します。例えば、直射日光であれば、カーテンを使用します。

(4)騒音
検査項目 騒音
基準 学習指導のための教師の声等が聞き取りにくいことがないこと。

事後措置

騒音がある場合には、発生源を調べて窓を閉める等により、騒音の低減化の工夫をします。
教師の声が聞き取りにくい場合は、教師に申し出るよう、児童生徒等に指示をします。

外部騒音が考えられる場合には、窓を閉めることになりますが、自然換気を妨げることになるので十分な注意が必要です。

(5)飲料水の水質
検査項目 飲料水の水質
基準 (ア)給水栓水については、遊離残留塩素が 0.1 mg/L 以上保持されていること。
ただし、水源が病原生物によって著しく汚染されるおそれのある場合には、遊離残留塩素が 0.2 mg/L 以上保持されていること。
(イ)給水栓水については、外観、臭気、味等に異常がないこと。
(ウ)冷水器等飲料水を貯留する給水器具から供給されている水についても、給水栓水と同様に管理されていること。

事後措置

遊離残留塩素濃度が基準を満たさない場合は、
高置水槽、受水槽から直接採水する等、給水経路をさかのぼって遊離残留塩素濃度を追跡し、何らかの汚染が生じていないか点検します。

(6)雑用水の水質
検査項目 雑用水の水質
基準 (ア)給水栓水については、遊離残留塩素が 0.1 mg/L 以上保持されていること。
ただし、水源が病原生物によって著しく汚染されるおそれのある場合には、遊離残留塩素が 0.2 mg/L 以上保持されていること。
(イ)給水栓水については、外観、臭気に異常がないこと。

事後措置

検査の結果、基準を満たさない場合は、塩素消毒装置や雨水の貯水槽等の設備の状況を点検します。

(7)飲料水等の施設・設備
検査項目 飲料水等の施設・設備
基準 (ア)水飲み、洗口、手洗い場及び足洗い場並びにその周辺は、排水の状況がよく、清潔であり、その設備は破損や故障がないこと。
(イ)配管、給水栓、給水ポンプ、貯水槽及び浄化設備等の給水施設・設備並びにその周辺は、清潔であること。

事後措置

排水の状態が悪いときは、排水口や排水溝等の清掃をします。
汚れていたり、滑りやすくなっていたりするときは、清掃を徹底して行い、滑らないための適切な措置をとります。
施設・設備に故障があるときは、修理をする等適切な措置をとります。

(8)学校の清潔
検査項目 学校の清潔
基準 (ア)教室、廊下等の施設及び机、いす、黒板等教室の備品等は、清潔であり、破損がないこと。
(イ)運動場、砂場等は、清潔であり、ごみや動物の排泄物等がないこと。
(ウ)便所の施設・設備は、清潔であり、破損や故障がないこと。
(エ)排水溝及びその周辺は、泥や砂が堆積しておらず、悪臭がないこと。
(オ)飼育動物の施設・設備は、清潔であり、破損がないこと。
(カ)ごみ集積場及びごみ容器等並びにその周辺は、清潔であること。

事後措置

施設・設備に汚れがある場合は、整理や清掃の徹底を図り、破損がある場合には速やかに補修します。

清掃が不十分な場合には、清掃方法の改善や清掃の徹底を図ります。

飼育動物の施設・設備の清掃に当たっては、動物が原因で感染症やアレルギー等が発症することもあり、健康に害を及ぼすことがあるので、専用の身支度をし、清掃用具も飼育動物の施設専用にします。
また、動物の健康管理を十分に行うとともに、児童生徒等に対しては、次のようなことを指導します。

  • ・動物に触ったあとは手をよく洗う。
  • ・口移しでえさを与えない。
  • ・体調が悪いときは、動物との接触は避ける。
  • ・動物にかまれたりひっかかれたりしたときは、すぐに手当てを受ける。
  • ・アレルギー疾患のある児童生徒等は、症状がより悪化する場合があるので飼育施設の清掃はしないようにする。
  • ・死んだ動物などを発見した場合には、手で触らないこと。
    同じ場所でたくさんの野鳥などが死亡していたら、近くの都道府県又は市町村役場に連絡すること。
  • ・鳥や動物を飼育している場合については、それらが野鳥と接触しないようにすること。
    このため、放し飼いは行わないようにするとともに、野鳥の侵入や糞尿の落下などを防止するために、飼育施設にトタン板等の屋根を設けたり、ネットに破れがないか点検したりするなどの適切な措置を講じること。
    また、周囲に穀類等のエサや生ゴミ等野鳥を誘引するものを置かず、清潔を保つこと。
(9)ネズミ、衛生害虫等
検査項目 ネズミ、衛生害虫等
基準 校舎、校地内にネズミ、衛生害虫等の生息が見られないこと。

事後措置

ネズミ、衛生害虫等の発生が認められたときには、駆除しなければなりません。
対象となるネズミや衛生害虫等の習性をよく調べ、それらが生息しにくい環境づくりを進めます。

ネズミ、衛生害虫駆除においては、ネズミ等の生息場所及び侵入経路並びに被害の状況について十分に調査した上でネズミ、衛生害虫の発生を防止するための必要な措置を行う必要があります。

樹木等の病害虫駆除においては、日常的な観測によって病害虫被害や雑草の発生を早期に発見し、被害を受けた部分のせん定や捕殺、機械除草等の物理的防除により対応するよう最大限努めます。

やむを得ず薬剤による駆除を実施せざるを得ない場合は、ネズミ、衛生害虫の駆除に当たっては「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の規定による承認を受けた医薬品又は医薬部外品を使用し、樹木等の病害虫の駆除に当たっては「農薬取締法」の登録を受けた農薬を使用します。

なお、薬剤による駆除を行う場合は、学校での使用となるため、児童生徒等に危険が生じないよう、また、周辺環境へも十分に配慮し、使用する薬剤の効果、残存時間、使用時の注意を熟知して行います。

特に、農薬を使用する場合は、「住宅地等における農薬使用について」(平成 25 年 4 月 26 日付け 25 消安第 175 号、環水大土発第 1304261 号 農林水産省消費・安全局長、環境省水・大気環境局長通知)を参考にします。

(10)プール水等
検査項目 プール水等
基準 (ア)水中に危険物や異常なものがないこと。
(イ)遊離残留塩素は、プールの使用前及び使用中 1 時間ごとに 1 回以上測定し、その濃度は、どの部分でも 0.4 mg/L 以上保持されていること。
また、遊離残留塩素は 1.0 mg/L 以下が望ましい。
(ウ)pH 値は、プールの使用前に 1 回測定し、pH 値が基準値程度に保たれていることを確認すること。
(エ)透明度に常に留意し、プール水は、水中で 3 m 離れた位置からプールの壁面が明確に見える程度に保たれていること。

事後措置

遊離残留塩素の濃度が基準値より低いときは、入泳を止めて、消毒用塩素剤の注入量を増加し、濃度が 0.4 mg/L 以上になったことを確認した後に入泳させます。

水中で 3 m 離れた位置からプール壁面が明確に見えない場合は、見えるようになるまで、十分に循環ろ過装置を機能させるか、又は水を入れ替えます。

水中に危険物や異常なものがある場合には速やかに取り除きます。

(11)附属施設・設備等
検査項目 附属施設・設備等
基準 プールの附属施設・設備、浄化設備及び消毒設備等は、清潔であり、破損 や故障がないこと。

事後措置

プールの附属施設・設備が汚れているときは、清掃等により清潔にします。

また、破損や故障、又は十分に機能していない場合等には、直ちに校長に連絡するとともに、学校薬剤師等に連絡して適切な措置を講じます。

排水口や循環水の取り入れ口の安全について点検した結果、異常のある場合は安全が確認されるまで入泳させません。