
学校薬剤師とは
学校薬剤師の役割
学校薬剤師制度があるのは、世界中でも日本に限られています。
1930(昭和5)年に、北海道のある小学校で風邪をひいた児童に、解熱剤である「アスピリン」を服用させるつもりが、「塩化第二水銀(毒薬)」を服用させてしまい、児童は亡くなってしまうという事故がおこりました。
この事故をきっかけに、いろいろな薬を保管している学校において薬を管理する専門家の必要性が問われ、その自治体が学校薬剤師を配置しました。
この流れは全国にひろがり、現在では大学以外の学校には学校薬剤師を置かなくてはならないことが、学校保健安全法 第23条によって規定されています。
学校薬剤師の役割は、薬事衛生をつかさどる専門職としての立場から、学校保健に携わり、子どもたちの快適な教育環境を守ることが主な役割です。
そして、平成21年には新たに学校保健安全法及び学校保健安全法施行規則が施行され、健康相談、保健指導においても、学校薬剤師の役割が求められるようになりました。

学校環境衛生
学校では学校保健安全法第5条の規定により、学校の学校環境衛生活動の1年間の計画「学校保健計画」を策定しなければなりません。
学校薬剤師はその計画に基づき、同法第6条の学校環境衛生基準に基づいた学校保健安全法施行規則に従って学校環境衛生検査を実施しています。
検査内容は幅広く、教室等の環境(採光及び照明、騒音、温度、湿度、換気など)、水質及び施設・設備(飲料水、水泳プールなど)、排水の管理(雨水の排水溝など)、備品の管理、学校の清潔、日常点検等の実施状況の確認、感染症・食中毒の予防などが挙げられます。
そして、児童生徒の健康増進のため、学校における環境の維持管理に関する助言と指導をおこなっていきます。
健康相談・保健指導
健康相談や保健指導といった役割が、学校薬剤師に与えられたのは、平成21年のことです。
実際の活動としては、薬物乱用防止活動、飲酒や喫煙、受動喫煙の影響に関する啓発活動などです。
特に、学習指導要領の改訂に伴い、2012(平成24)年度から中学校保健体育で「医薬品の正しい使い方」の学習が組み込まれました。

生涯を通してくすりから無縁で過ごすことは考えられません。
くすりは正しく使えば薬ですが、誤った使い方をすれば害を及ぼすこともあります。
薬の専門的知識を持っている薬剤師と教師とがチームを組んで(チームティーチング)、くすり授業への参加や補助資料作成のお手伝いをしています。
学校薬剤師は、勤務校の管理職や教員と連携を図り、よりよい保健教育をおこなうべく、専門性を生かした積極的な参画が求められています。

年間活動

学校薬剤師になるには
学校薬剤師になるには?
学校薬剤師は、薬剤師であれば学校の設置者(教育委員会等)が任命または委嘱すると誰でもなることができますが、一般的には岐阜市学校薬剤師会が、学校の設置者の求めに応じて会員を推薦しています。
- 学校薬剤師業務についての研修を受けることができる
- 環境測定機器の使用法について学ぶことができ、測定機器を借りることができる
- 学校への指導助言に関する情報を得ることができる
- タバコ・アルコール教育に関する資料、薬物乱用防止教室、薬の正しい使い方教室などに関する資料を得ることができる
- ボランティア精神によって支えられている活動のため岐阜市学校保健会等表彰対象となる
岐阜市学校薬剤師会会員になるには

- 岐阜市薬剤師会 A会員 B会員の方
- 岐阜市学校薬剤師会 新人研修を受講された方(2年に1度開催)
- 学校薬剤師として積極的に業務に取り組む方
- 研修会等によりレベルアップを図れる方
まずは事務局へメールでお問い合わせください。

地域の子ども達のために
一緒にがんばりましょう
経済は持続可能な社会に向けて使い続ける「循環型」へと大きく変化し、グローバル化、情報化の面での急速な社会変化もあります。
社会が大きく変化していく中、学校も例外ではありません。
G I G Aスクール構想の実現に伴う教室の照明環境の整備、地球温暖化を背景にした一括した空調管理の導入等、学校環境衛生検査にも関わる変化が生じています。
子どもたちの快適な環境を守るために、私たち学校薬剤師は社会的な環境変化等の情報収集に努め、新たな知識の研鑽に励まなければなりません。
そして今後期待されているくすり教育の実施など薬剤師としての専門性を教育の場において発揮し、子どもたちの心と体の健康、学校環境の維持と改善に貢献してきます。